高性能化と小型化が進む携帯電話基地局

窒化ガリウムHEMTを用いた基地局送信機用増幅器

図 窒化ガリウムHEMTを用いた基地局送信機用増幅器

携帯電話基地局の送信用増幅器として、従来の高出力トランジスタに比べ、50ボルト以上と高い電圧で動作する窒化ガリウムHEMTを開発しています。 HEMT(高電子移動度トランジスタ、High electron mobility transistor)とは、2つの異なる半導体の接合部の電子が、通常の半導体内部に比べて高速で移動することを利用したトランジスタです。 窒化ガリウムは、従来のシリコンやガリウム砒素に比べ、電界による破壊に対して10倍強い特徴があります。 窒化ガリウムHEMTを使った送信器用増幅器では、高い電圧で動作が可能になるため高い出力が得られ、電力を効率的に電波に変換させることができます。

窒化ガリウムの結晶構造を最適化することにより高電圧・高出力動作を可能にしました。

  • 周波数2GHzで63V動作と174Wの出力を1個の増幅器で実現しました。
  • 電力を電波に変換する効率も、大出力素子としては世界トップレベルの54%を達成しました。
  • 信号歪みを補正する回路と窒化ガリウムと組み合わせることにより、歪みが少なく、かつ、効率の高い高出力増幅器を実現しました。
  • 携帯電話の標準的通信規格(W-CDMA)を満たした上で世界最高効率40%を達成しました。

携帯電話基地局の送信用増幅器に窒化ガリウムHEMTを適用した場合には、電力を効率的に変換させることができるため、基地局の消費電力を低減し、冷却システムが単純になるため基地局を小型化できます。

窒化ガリウム(GaN)物性値と従来の半導体材料との比較
窒化ガリウム(GaN)物性値と従来の半導体材料との比較

(富士通マイクロエレクトロニクス株式会社)

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