「ハイテク・ユニバーシティ in 滋賀」報告

<ハイテク・ユニバーシティについて>
SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International )が主催する教育プログラム「ハイテク・ユニバーシティ」が2009年3月25日と26日の両日、大日本スクリーン製造(株)彦根事業所とNECセミコンダクターズ関西(株)にて開催されました。 「ハイテク・ユニバーシティ」の目的は、次代を担う高校生に、半導体産業が果たしている社会への役割について理解を深めてもらうこと、将来の進路の一つとしてこのような産業があることを理解してもらうこと等にあります。このため、実習等を交えて楽しく平易に半導体やマイクロエレクトロニクスの基礎について学ぶ機会を提供するものです。これまで米国を中心に60回以上開催され、2000名以上が受講した実績のあるプログラムであり、日本では2007年の熊本県、2008年の茨城県に続いて、今度の滋賀県での開催は3回目となります。このプログラムは滋賀県教育委員会が後援し、会場のご提供のあった両社との共催、そしてJEITAなど多くの団体や会社から共賛を受けています。 今回は、滋賀県の県立国際情報高校、長浜北星高校、東大津高校、米原高校、八日市高校の5校から31人の高校生が参加しました。 JEITA半導体部会はこのイベントに協賛団体として参加しました。

<プログラムの概要>

プログラムの概要

<1日目の様子>
1日目(25日)は、大日本スクリーン製造(株)彦根事業所にて行われました。
GCDF-Japan キャリアカウンセラー EQJ公認トレーナー 金津氏により、導入プログラム「ゲーム形式による自己紹介とチーム作り」などが行われ、それまで少し緊張していた高校生たちもリラックスし始めたようでした。

まずゲームからはじめよう!!
まずゲームからはじめよう!!
半導体ってどんなモノ?
半導体ってどんなモノ?

午前の最初は、「半導体とは?」と題して、(株)ルネサスソリューションズ ツール技術部 グループマネージャ 吉岡氏が講演されました。半導体の最も基本的な機能である「記憶」と「判断」部分に焦点をあて、半導体の「メモリ」と「マイコン」を例にして、なぜ集積回路は微細化とスピードを追求して開発が行われていくのかについて、分りやすく説明されました。続いて、最初の実習は、「人間コピー」。日常何気なく使っている電子機器の中には非常にたくさんの半導体が使われています。その中の一つがコピー機。大日本スクリーン製造(株)彦根事業所のスタッフの皆さんが準備した巨大なコピー機に、チームの人間を丸ごと写してみることにしました。半導体が多く使われている装置に直接触れることができる実習に、少しは半導体を身近に感じてもらえたようです。

今コピーされているの?
今コピーされているの?
1と0の信号で計算される
1と0の信号で計算される
いろんな国の人が活躍
いろんな国の人が活躍

午後には、二つ目の実習、「人間計算機 俺ッ、半導体 !!=v。東京エレクトロンFE(株)会長 石井氏が、高校生の頃のことや社会人になってからのことなど、エピソードを披露されながら論理回路の動作を説明。
その後、床に敷いたマット上に描かれた論理記号上に高校生たちが立ち、ANDやOR、NOTの回路になりきって、デジタル信号の流れを模擬体験しました。2進数の足し算の結果が答えと一致していることを確認すると歓声があがっていました。

続いて、講演「半導体ってグローバル」が、(株)ルネサステクノロジ プレマル・ワキル氏から行われました。ワキル氏はインドの出身で、インドの大学院を卒業後来日、現在は(株)ルネサステクノロジで海外からの資材調達を担当されています。
インドと日本の文化や学生生活の違い、仕事を通して経験した多くのことを流暢な日本語で紹介されました。国籍が異なる多くの人々が半導体産業で働いていることを知ると共に、異文化の垣根を乗り越えられて日本の企業でご活躍されているワキル氏のお話に、高校生たちは聞き入っていました。
その後、大日本スクリーン製造(株)彦根事業所内のクリーンルーム、オフィスの見学、グループ討議、アンケートを実施して1日目のプログラムは終了しました。

<2日目の様子>
2日目(26日)は場所を移して、NECセミコンダクターズ関西(株)にて行われました。
最初は、(株)荏原製作所 常務執行役 辻村氏が、「世界に羽ばたく半導体エンジニア」と題した講演を行いました。そこでは、半導体産業の特徴や企業における開発の考え方が、分かりやすく説明されました。 企業での開発では「常識を破ること」が必要となるが、今何がその「常識」なのかをしっかり把握することがまず大事。その上で「何か(例えば大きさ)を変えてみる」と、そこには、今まで常識と思っていたことが「全く常識でなかった」ということがある。そこに、大きな発見や発明が生まれる、との指摘に高校生は目を輝かせていました。

技術開発と常識と
技術開発と常識と
見えた、倍率をあげるぞ
見えた、倍率をあげるぞ
パネラーに質問する高校生
パネラーに質問する高校生

講義の後は、NECセミコンダクターズ関西(株)の半導体製造ラインを見学しました。
午後一番は、来賓挨拶。 滋賀県教育委員会 指導主事 西川先生、大日本スクリーン製造(株) 垣内カンパニー社長、NECセミコンダクターズ関西(株)小林社長、JEITA半導体部会・人材戦略小委員会 平田主査から、それぞれご挨拶がありました。
続いて、「ミクロの世界で見えるモノ、ナノの世界で見えるモノ」と題し、(株)日立ハイテクノロジーズ先端製品営業本部 営業技術部主任技師 平根氏によりグループ討議と実習が行われました。
実習では、携帯電話を丁寧に分解して集積回路を取り出し、その断面を電子顕微鏡で観察しました。高校生たちは熱心に電子顕微鏡の操作に取り組み、鮮明な画像が見えると歓声をあげていました。

高校時代を話すパネラー
高校時代を話すパネラー
修了おめでとう
修了おめでとう

午後の後半は、半導体業界での仕事の紹介のセッションを実施しました。最初、キャリアカウンセラー 金津氏が「パーティゲーム」と題し、演習をリードしました。まず、パーティ開催を題材に、いろいろな仕事を例示し、自分がどの仕事をしたいか学生が自ら選びます。その仕事を選んだ人たちで、なぜそれを選んだかを議論し、仕事の内容と個人の性向について学ぶゲーム形式のプログラムです。

その後、先輩によるパネルディスカッション。金津氏の司会で、半導体で働く若手先輩4名の方々の仕事紹介とこれまでの経験、今後の夢について語り合いました。

2日間の最後にまとめとして、グループディスカッションを実施し、それぞれが発表をしました。 高校生の皆さんの発表では、今回のイベントを通して、半導体や技術への理解が深まり、興味をわかせたようです。また、仕事や働くことについて、考える良い機会となったようです。さらに、今社会で活躍している人が高校生の頃にどのように過ごしてきたか、などを聞くことができ、とても参考になったようで、将来の夢の実現に向けて考える良い機会となり、とても良いイベントとなったようです。
最後に、高校生一人ひとりにSEMIジャパン代表中川氏から、修了証が手渡され、みんなで記念撮影をして、このイベントは終了しました。

以上

全員で記念撮影
全員で記念撮影

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