「半導体ビジネスと標準化戦略に関するセミナー(第6回)」を開催(2013年12月12日)

日時:2013年12月12日(木) 14:00−17:15 於:JEITA416会議室 主催:JEITA 半導体部会技術委員会(準備・進行:標準化戦略WG)


JEITA半導体部会技術委員会では、昨今その重要性が改めて認識されている標準化戦略に関して、知見を深めるべく今回で6年目の開催となる標記セミナーを実施しました。

今回は、ITエレクトロニクス分野で快進撃を続ける韓国の官民の標準化戦略動向に焦点を当て、「韓国スマート社会の動向と産業政策」を基調テーマとして、韓国生まれ日本育ちで両国の政策・企業動向に詳しい女性ジャーナリストの趙章恩氏をお招きし、驚愕の韓国の医療・IOT(internet of things)の実情を詳しくレポート頂きました。

趙章恩氏が明かす韓国の医療・IOT分野の驚きの実情

セミナーは、冒頭技術委員会の中込委員長の挨拶に続き、標準化戦略WGの飯田リーダーの司会のもと、趙先生からの2つの講演「サムスンの医療事業の最新動向について」、「サムスン、LG スマート社会の取り組みと産業政策」を頂戴し、それぞれの講演を受けて参加者全体による討議により進められ、技術委員会実行委員会の遠藤主査の講評で締めくくられました。

趙先生の講演では、韓国の朴槿恵大統領の国民への2つの約束「創造経済」と「経済民主化」のもと進められている輸出競争力強化と中小企業の支援策、医師と患者の遠隔診療の解禁や国プロによる大規模な実証実験など医療分野で進む種々の変革、サムスンにおける医療分野での積極的なM&Aや海外進出、韓国内の驚異的なスマートフォンの普及実態、IOT分野で政府が主導する国際標準化、など韓国における豊富な先進事例が紹介されました。

講演を受けての討議では、予想以上に変革を進めている韓国の動きに驚きを感じつつも、「連携する部分と競争する部分をじっくり考えたい」、「新興国への廉価な医療機器開発に向け協働の可能性を感じた」など参加した技術委員会メンバー各社からは前向きな発言が聞かれました。

趙先生の講演で強く印象に残った韓国の実情は、

  • サムスンに入社するには、TOEIC900点レベルは当たり前でそれだけでは不十分といった超競争社会。
  • スマホ・タブレットの普及が15歳以上経済活動人口の9割にも達し、それひとつで、例えば、通院予約・来院手続き・検査/診察室の案内・医療費精算・処方薬の受け取り・検査データの管理まで可能な医療機関のIT化の充実度。
  • 国内の自社病院をテストベッドとして確立した医療体制を、運営も含めて病院丸ごと、政府ODA予算を用いて新興国に輸出してしまう戦略スケールの大きさ。各国へ展開したスキームを、まずデファクト標準として確立し、将来的にデジュール化を図る戦略性。
  • 医師会の抵抗を、14年間もの時間を費やしながらも、医療制度改革を既に達成してしまっている政治の変革への強い意志力。
  • ビジネスマンのごとき政府官僚が国際標準化を主導し、成長が期待されるIOT分野に官民共同で取り組んでいる姿。

等々、驚きを禁じえないものでした。日本企業も、自らの変革のスピードを上げると共に、国の産業政策のレベルをより高次のものとするべく、官民連携を強化していかなければならない、との思いを新たにしました。

また、趙先生からは、「以前韓国は先行する日本を見本にしたが、現在は社会実証の点では韓国が成功・失敗はともかくとして日本よりも進んでいることが多いので、日本は韓国の実証事例を参照したら良いのではないか」、「医療革新のシーズは日本に求め、それを総合的な医療サービスとしてアレンジしているのが韓国の実態であり、そこに日韓連携の可能性もあるのではないか」という提案があり、新たな気づきを提供して頂きました。

さらに、韓国の日常風景では、「反日」などどこにも見当たらないという、マスコミ報道とは異なる実感も披露され、興味深く思いました。

いずれにしても、日韓両国に精通した趙氏ならではの貴重な情報を頂き、考えさせられることが多い密度の濃いセミナーとなりました。

趙章恩(ちょう・ちゃんうん)氏のプロフィール

ITジャーナリスト。韓国で生まれ、小学校から高校卒業まで東京で育つ。梨花女子大学卒。東京大学大学院学際情報学府修士・博士課程修了。現在はソウル在住。韓国のIT情報に関する専門家として、日本においても数々の講演をされている。KDDI総研特別研究員。韓日政府機関の委託調査や韓国IT視察コーディネートを行う「J&J NETWORK」の共同代表。2000年4月に創立された、韓日インターネット ビジネス実務者団体「KJIBC(Korea Japan Internet Business Community)」の会長も務める。
<Website: http://www.nikkeibp.co.jp/article/dho/20110822/281390/ から抜粋

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