1 ミリメートルの1000 分の1 を1 マイクロメートルとよぶことは皆さんは知っていますね。 では、その1000分の1を何というか知っていますか。これが1 ナノメートルです。 1メートルを基準にしていうと10億分の1 メートルです。では、いまなぜナノが話題になっているのでしょうか。 それは分子の大きさ(半径)が1 ナノメートルだからで、ナノテクノロジーは分子を操作する究極の技術として注目されています。
ナノレベルの世界を観察するには電子顕微鏡を使います。1983年に走査型トンネル顕微鏡が発明されて、ナノの世界が急に解明されてきました。 1991 年、日本で発見されたカーボンナノチューブは新しい半導体材料として、今もっとも注目されています。 このほか、薄型テレビの電子銃として、また燃料電池用の(触媒)電極として利用する研究が進んでいます。
カーボンナノチューブの模型図
カーボンナノチューブはNEC の主席研究員であった飯島澄男氏によって発見されました。 炭素原子がつながって円筒状になった新物質。直径は1 〜 30 ナノメートル。長さは 1 マイクロメートルくらい。
バイオ技術の中心ともいえるDNA チップは半導体の超微細加工技術を使って作られます。 外見も半導体チップそっくりです。小さな基板の上に何万ものDNA 断片(遺伝子情報解明ずみのもの)を固定し、電極を作って金線で結びます。 一方、調べたいDNA サンプルには蛍光試薬で印をつけておき、DNA チップに流しますと、遺伝子情報が同じものは結合します。 これをハイブリダイゼーションといいます。この結果を検出することで瞬時にDNA の情報を解析することができるわけです。
アメリカ、EU、日本の共同研究チームがヒトゲノムの解読にほぼ成功したと発表されたのは2000 年6月のこと。 「ゲノム」とは「全遺伝子情報」のことで、ヒトゲノムとは「人間の全遺伝子情報」ということです。 DNAチップを高性能のコンピュータにセットして遺伝子を構成する分子の配列を読みとって行きます。 このように、分子生物学はコンピュータなしには考えられないので、これを新しい学問「バイオインフォマティクス」(生物情報学)とよぶ人もいるくらいです。
DNA = Deoxyribonucleic Acid