近年の携帯電話は、従来の通話だけの機能に対し、ゲームやカメラ、地上デジタル対応など、マルチメディア対応を始めとした様々な機能が搭載されています。 しかし、機能の拡大は部品数の増加を招き、消費電力の増大、すなわち電池駆動時間が短くなることや、携帯電話のサイズを大きく、厚くする要因になります。
アプリケーションプロセッサは、通話以外の様々なアプリケーションの処理を専用に行うLSIとして、日本で世界に先駆けて開発されました。 そして先進的な技術の開発、内蔵により、携帯電話の高機能化、低消費電力化、薄型化の実現に貢献してきた重要な部品の1つです。
アプリケーションの種類が増えるとLSIの回路規模は増大し、通常、消費電力も増加してしまいます。 この消費電力増加を抑えるため、様々な世界最先端の低消費電力化技術が開発されました。 その1つの例として、LSI内部の各回路の電源について、「これまでの全回路が常時オン」から「その時その時の処理に必要な回路のみオン、かつ高速(短時間)にオン」という電源遮断回路技術があり、本技術により、高機能化しながらも消費電力を抑えることが可能になります。
また、複数のLSIチップを1つのパッケージに納めるSiP(System in Package) 技術が開発されました。 当初の平面配置構造から、縦に配置するスタック(積層)構造へと技術開発が進み、本技術により、パッケージ数の増加を抑えられ、かつ実装面積の低減や厚さ増加を抑制できます。
これらの開発技術は、今後さらに進化し、携帯電話のさらなる高機能化、多機能化を支えていくものと思われます。
(株式会社ルネサス テクノロジ)