近年、地球環境保護のため温室効果ガスであるCO2排出削減が重要視されています。CO2は電力を生み出すときにその副生成物として排出されています。 電力を効率よく利用することで、CO2排出量を低減することが可能になります。
電力変換の際の電力ロスを減らすためのキーデバイスとして、より低抵抗なパワーMOSFET(金属-酸化膜-半導体 電界効果トランジスタ)が求められています。 現在主流であるパワーMOSFETの半導体材料であるSiはその理論限界に近づきつつあり、大幅な低抵抗化は困難でした。 そこで、ワイドギャップ半導体SiCを用いた超低損失パワーMOSFETが開発されました。 この技術により、電力ロスが大幅に低減することが実証されました。 実用化が進めば、日本だけで原発4基分の省エネ効果が期待できます。
パワーMOSFETには、低抵抗で高耐圧という特性が求められます。 SiCはその物性値から、低抵抗、高耐圧のどちらも期待できる材料です。 しかしながら、SiCのMOSFETはチャネル部の電子移動度が低く電流が流れにくいためチャネル抵抗が大きいという課題があり、そのためチャネル移動度を向上させることが必要でした。 そこで、高チャネル移動度ゲート絶縁膜形成技術を開発し、低抵抗、高耐圧SiCパワーMOSFETを実現しました。 この技術は、今後ハイブリッドカー、電気自動車などのモーター駆動用インバーターや、エアコンなどのインバーターに搭載されていき、省エネに貢献していくでしょう。
(ローム株式会社)