SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International )ジャパンが主催する教育プログラム「ハイテク・ユニバーシティ」が2008年3月25日・26日に(株)日立ハイテクノロジーズ那珂事業所、 (株)ルネサステクノロジ那珂工場にて開催されました。JEITA半導体部会・人材戦略小委員会は、このイベントに協賛として参加しました。
「ハイテク・ユニバーシティ」は、次代を担う高校生に、半導体産業が果たしている役割への理解を深め、 将来進路の選択肢のひとつとして受け止めてもらうため、実習等を交えて楽しく半導体やマイクロエレクトロニクスの基礎について学ぶ機会を提供することを目的としているSEMIのプログラムです。 これまで米国中心に60回以上開催されており、日本では2回目です。今回は、茨城県立の水戸第二高校、日立第一高校、勝田工業高校、常陸大宮高校の4校から36人が参加しました。 茨城県教育委員会の後援、会場を提供した両社の共催、JEITAをはじめ多くの会社、団体の協賛を得ています。
1日目(25日)は、(株)日立ハイテクノロジーズ那珂事業所にて、GCDF-Japan キャリアカウンセラー EQJ公認トレーナー 金津氏による導入プログラム(ゲーム形式による自己紹介とチーム作り)から始めました。
午前は、「ミクロの世界で見えるモノ、ナノの世界で見えるモノ」と題し、同社 先端解析グループ 統括主任技師 多持氏による電子顕微鏡の解説と実習。 実習では、携帯電話を分解してLSIを取り出し、その断面を電子顕微鏡で観察。高校生たちは熱心に電子顕微鏡に取り組み、鮮明な画像が見えると歓声をあげていました。
午後は「私たちの暮らしのベンリの秘密・半導体」として、(株)ルネサスソリューションズ ツール技術部 グループマネージャ 吉岡氏が、 身の回りでわれわれの生活を便利にしている半導体について所狭しと歩き回りながら熱く語りました。
続いて実習「人間計算機」。東京エレクトロンFE(株)会長 石井氏が、ユーモアあふれたエピソードを交え、論理回路の動作を説明し、 その後床に敷いたマットの上に高校生たちが立ち、AND回路やOR回路になりきって、デジタル信号の流れを模擬体験しました。
その後、電子顕微鏡製造現場、クリーンルームを工場見学とアンケートを実施して1日目のプログラムは終了しました。
2日目(26日)は、(株)ルネサステクノロジ那珂工場に場所を移し開催しました。最初は、荏原製作所 常務執行役 辻村氏が、 「世界に羽ばたく半導体エンジニア」と題した講演を行いました。そこでは、半導体産業の特徴や企業における開発の考え方が、分かりやすく説明されました。
講義の後は、半導体製造ラインを見学しました。
午後一番は、来賓挨拶。 茨城県教育庁高校教育課 指導主事 高橋先生はじめ、(株)日立ハイテクノロジーズ、(株)ルネサステクノロジ、JEITAから挨拶があった。
午後は、ルネサステクノロジ 資材調達統括部 プレマル・ワキル氏の講演「小さな半導体と大きな仕事」。ワキル氏はインドの出身で、 インドの大学院を卒業後来日、現在はルネサスで海外からの資材調達を担当されています。インドと日本の比較や両国の学生生活の違い、 仕事を通して経験したことなどを流暢な日本語で紹介されました。国は異なっていても、学校で学んだことや社会で経験したこと、 仕事へ取り組む姿勢など、ワキル氏の話は、参加した高校生の参考になったようです。
午後の後半は、半導体業界での仕事の紹介のセッションを実施しました。最初、GCDF-Japan 金津氏が「パーティゲーム」と題し、 演習をリードしました。まず、パーティ開催を題材に、いろいろな仕事を例示し、自分がどの仕事をしたいか学生が自ら選びます。 その仕事を選んだ人たちで、なぜそれを選んだかを議論し、仕事の内容と個人の性向について学ぶゲーム形式のプログラムです。
その後、先輩によるパネルディスカッション。金津氏の司会で、半導体で働く若手先輩4名の方の仕事の紹介とこれまでの経験、今後夢について語り合いました。
2日間の最後にまとめとして、グループディスカッションを実施し、それぞれが発表をしました。
高校生の皆さんの発表では、今回のイベントを通して、高校生の皆さんにとって、半導体や技術への興味や理解が深まったとのことです。 また仕事や働くこと、将来の夢や目標と高校生の今やることなどについて考えるよい機会を与えることができた良いイベントとなったようです。
以上