JEITA半導体技術委員会は、『半導体ビジネスと標準化戦略に関するセミナー(第2回)』を開催しました。
これは、重要性が高まる中で日本での取組みの遅れが指摘されている標準化戦略を、事業戦略のひとつの要素として位置付けられることを目指して、技術委員会標準化戦略WGにより企画されたビジネスセミナーです。
基調講演とパネルディスカッションの2部構成でメンバー企業の事業・知財責任者に参加頂きました。セミナーで確認された、「何を標準化すべきで何を標準化してはならないか」等に関する一見意外とも思えるような数々の標準化戦略の要諦は、少なからぬ驚きを伴って出席者にインパクトを与え、「非常に有益で参加できて良かった」と大きな反響を呼びました。
基調講演: 一橋大学 江藤教授 |
特別講演: アルダージ 中村社長 |
パネル討論では活発な議論が行われた |
冒頭、中屋雅夫委員長の開会の挨拶があり、「利益を上げている会社を調べると標準化をうまく活用している。単なる製品作りのみ会社は苦しんでいる。」との問題意識が提示され、セミナーがスタートしました。
基調講演は、一橋大学 イノベーション研究センター教授の江藤学氏から、実例を交えながら標準化戦略に関する体系的な解説がなされました。「自社の強みであるコアを標準化してはならない。弱い部分をこそ標準化に持ち込むべき。標準化の基本に関してまだまだ誤った認識が多くなされている。」との指摘には、目からウロコが落ちた感を受けました。
続いて特別講演されたアルダージ株式会社 代表取締役社長の中村嘉秀氏からは、知財や標準化にまつわる豊富なビジネス経験に基づき含蓄のあるお話を頂戴しました。「デジタル時代においてパテントプールは技術別から製品別へと進化することが必要」とのメッセージは示唆に富んだものでした。
第2部のパネルディスカッションは、会員企業4社の事業・知財部門の責任者に加え、第1部の講演者にも参加いただき、モデレータ役を標準化戦略WGの飯田清和リーダーが務め、討論が進められました。
「事業戦略のプロセスの中で、商品開発と知財・標準化がどのようにかかわっているのか?」等、予め設けられた3つの切り口に沿って、各社の取組み状況が紹介され、それに対し、江藤先生、中村社長からは的確で鋭いコメントをいただきました。会場からも多くの質疑があり、大変熱気のある議論が展開されました。各社各様に標準化戦略への理解をより一層深めることができたのではないかと思います。
セミナー後の懇親会では、参加者から、「非常に為になった。愚直にものづくりや研究開発に取組むだけでは足りないことがよくわかった。」などの感想が寄せられました。第3回のセミナー開催を希望する声もあり、これに応えWGでは来年度にもセミナーを企画するとのことです。
本セミナーが契機となり、標準化戦略を組入れた事業展開が行われ、日本半導体産業の力強い発展が図られることを期待したいと思います。
◇基調テーマ: 事業戦略における標準化戦略・知財戦略の活用
◇日時: 2010年2月25日(木)14:30〜17:30 (18:00〜19:30懇親会)
◇場所: JEITA 5階 504-505会議室
◇主催: JEITA半導体技術委員会
◇プログラム(合計3時間):
- 開会の挨拶 JEITA半導体技術委員会正委員会 委員長 中屋 雅夫
【第一部】
- 基調講演: 「標準化の事業における重要性」
一橋大学 イノベーション研究センター 教授 江藤 学 氏
- 特別講演: 「デジタル時代の知的財産問題とその処理方法」
アルダージ株式会社 代表取締役社長 中村 嘉秀 氏
休憩
【第二部】
- パネルディスカッション: 「事業戦略における標準化戦略・知財戦略の活用」
パネラー: 一橋大学 江藤 学 氏、アルダージ 中村 嘉秀 氏、
会員会社4社(NECエレクトロニクス(株)、(株)東芝、富士通(株)、
ルネサステクノロジ(株))から各1名(計6名)
座長: 標準化戦略WGリーダー 飯田 清和
- 閉会の挨拶: 標準化戦略WG特別委員/IEC SC47A国際幹事 春日 壽夫
◇参加会社:
NECエレクトロニクス(株)、三洋半導体(株)、シャープ(株)、セイコーエプソン(株)、
ソニー(株)、(株)東芝、パナソニック(株)、富士通マイクロエレクトロニクス(株)、
ルネサステクノロジ(株)、ローム(株)
事務局: 標準化戦略WG、JEITA
出席者総計: 29名