東北から関東北部を襲った東日本大震災から1年が経過しました。この間、被災地の半導体製造拠点は、復旧・対策を進め、その課題を整理して参りました。一方で、地震発生のリスクは今なお続いております。日本に立地している以上、製造拠点における地震対策は不可欠ですが、経験を踏まえた知識による確実な対策実施が地震被害を最小化できるとの観点から、JEITA半導体部会では、今般の被災地製造拠点においてなされた地震対策の考え方や情報を半導体各社と共有し事前対策に生かしていただくため、「半導体震災対応報告会」と題して事例や技術的な背景についての報告会を開催しました。
この活動は、半導体震災対策本部(2011.4.1〜2011.9.30)の活動まとめであり、報告会開催の案内を、国内にデバイス製造拠点をもつJEITA半導体部会会員企業を対象に行ないました。結果20社を超える会員企業から80名を超える参加をいただき、各社の熱心な取り組みが反映されました。
本報告会に際して、経済産業省商務情報政策局情報通信機器課の小竹課長補佐を来賓に迎え、ご挨拶をいただきました。この中で、地震による被害リスクの評価を客観的に行い最適化して進めるのが肝要であり、その精神を業界として共有し、ジャパンリスクへの対応を推進してほしいとのメッセージをいただきました。
半導体震災対策本部のフォローアップとして、事務局長を務めていただいた(社)半導体産業研究所(SIRIJ)の福間所長から、単に地震のフォローのみならずインフラ供給、サプライチェーンの対応が重要であること、また、将来起こるとされる南海トラフを中心とした地震発生リスク、今夏の電力供給の安定化への対応が目先の課題であることをご紹介いただきました。
事例報告では、拠点の被災状況と復旧状況をもとに対策の必要性と注意点をルネサス エレクトロニクス(株)の井上氏から、続いて過去の地震経験に基づいた対策事例のうち、建屋・付帯設備に焦点を当てたポイントを(株)東芝セミコンダクター&ストレージ社の米倉氏から、製造設備に焦点を当てたポイントを富士通セミコンダクター(株)の河辺氏から、それぞれ説得力のある報告が行われました。
報告では多くの注目すべき事例がありましたが、対策が行き届かなければ過去事例と同じことが再発すること、何はさておいても人命への波及ならびに、ガスや薬品による火災や汚染を回避することが重要であること、何回かの経験を踏まえてより堅牢になったことから、震災対策には継続的な努力が必要であること、が全体を通じて説かれました。
今回の報告会は関係者が集まる貴重な機会であったことから、名刺交換も活発に行われ、盛況のうちに閉会しました。
JEITA半導体部会では、今回の地震対策の情報共有を足掛かりに、各社の強力なBCMが構築されることを期待しております。この結果、半導体製造の拠点として日本の安全性をアピールできればと考えております。
日時:2012年4月16日(月) 14:30-17:00
場所:JEITA 401 - 403会議室
司会:JEITA/電子デバイス部 原 利夫 部長