JEITA半導体産業委員会では、今後の半導体をはじめとする産業成長の基盤をなす大学の現状について、知見を深める目的で、科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター フェロー/エキスパートの河村誠一郎氏をお招きし、「新政権下で進む大学改革の方向性と今後の産学連携の在り方」と題するご講演を頂きました。
「大学の力は国力そのもの。大学の強化なくして、国の発展なし」とする安倍首相の強力なリーダシップの下、数々の大学改革が進められていることを知る良い機会となりました。
我々半導体業界としても、変革が進む大学から生み出される種々の技術シーズや輩出される高度技術人材を活かして、日本の産業競争力の向上を図っていきたいもの、との思いを新たにしました。
◇演 題:新政権下で進む大学改革の方向性と今後の産学連携の在り方
◇講演者:科学技術振興機構研究開発戦略センター フェロー/エキスパート 河村誠一郎氏
◇聴講者:半導体産業委員会委員
◇主な内容:
・大学を取り巻く日本の現状は、OECD加盟国で見ると、大学進学率、社会人学生比率、海外留学生比率、海外への留学者数、などで見劣りしている。
・「大学力」は国力そのもの。大学の強化なくして、国の発展はあり得ない、とする安倍首相のリーダーシップの下、内閣の最重点課題のひとつと位置付けられ種々の大学再生プログラムが進行している。
・変革のための目標として、
- 10年で世界大学ランキングトップ100に10校以上をランクインさせる
- 日本人留学生倍増(12万人)
- 外国人留学生30万人計画
- 社会人学生倍増(24万人)
などが掲げられている。
・目標を実現するため、様々な政策が立案・推進されている。
- 首相直轄の「教育再生会議」を設置
- 「理工系人材育成戦略」(仮称)を策定
- 「産学官円卓会議」(仮称)の設置
- 大学発ベンチャー支援ファンド強化
- 初等中等段階の理数教育強化
- 「科学技術イノベーション総合戦略」に基づく、戦略分野への優先的な政策資源投入
- 海外大学の教育ユニット誘致
- 日本の大学の海外展開拡大
- 英語による授業の強化
- 企業等との協力による留学支援のしくみ作り
- 学長がリーダシップを発揮できる体制整備
- 法令改正も含めた大学ガバナンスの変革
- 大学での社会人の学び直し機能の強化
・また、答えのない問題に解を見出す批判的、合理的な思考力等の育成に向け、ディスカッションやディベートといった双方向の授業を導入し、主体的な学習を促す、大学教育の質の変革も検討されている。
・JSTは、ノーベル賞受賞の山中教授のiPS細胞の成果などに貢献してきた。今後も、イノベーションの源泉を生み出す機関として大学の活動を支援していく。
・日本企業には、本来の強みである長期的視点に立った経営に立ち返り、産学連携を通じ、大学の生み出す科学技術イノベーションのシーズを活かして、国の発展に資する力強い事業を展開されるよう期待している。