MEMSの第一人者江刺先生にご講演いただきました
2013年12月11日(水)16:00〜17:15 於JEITA会議室

JEITA半導体産業委員会では、委員各位の知見を深める目的で、現行2ヵ月に一度、関係各方面の第一人者をお招きしご講演頂いております。
今回は、MEMS開発の先駆者であり、多大なご貢献を頂いている、東北大学 江刺 正喜先生にご講演頂きました。
参加者一同、MEMSの歴史と最先端技術はもとより、日本の研究体制や産官学連携について欧米との違いの理解を深める大変良い機会となりました。

MEMSの第一人者江刺先生にご講演いただきました

講演会の概要

◇演題:「MEMS技術動向と今後の課題と産学連携」
◇講演者 東北大学 原子分子材料科学高等研究機構教授 (兼)
         マイクロシステム融合研究開発センター長   江刺 正喜氏
◇聴講者:半導体産業委員会委員
◇主な内容:
・使われているMEMS
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は、半導体シリコン基板の上に、センサーや電子回路を成型したデバイスで、コンシューマー機器から産業機器まで広く使われています。
例えば身近なスマートフォンには加速度センサーやジャイロセンサーなどのMEMS デバイスが搭載され、ユーザーインターフェースの進化を支えております。
その他、産業機器用途事例としては、ビデオプロジェクタ用ミラーアレーやMEMS発信器、圧力センサー、列車動揺測定装置などがありますとのご紹介がありました。

・樹脂接合による異種要素の集積化とウェハレベルパッケージング
MEMSの課題としてハイテク多品種少量でコストが高い、動く構造があり樹脂封止できないなどが挙げられます。コストの70%はパッケージングとテストであるため、「ウェハレベルパッケージング」が使われることが多くなります。これはウェハに保護膜を形成し、直接製品として切り出すもので、組立工程の設備が不要である上に、チップサイズレベルまで小型化できますとのお話がありました。

・MEMSの応用
高周波・通信関係では、CMOS-FBAR voltage controlled oscillator、ScAlNを用いたGHz帯Lamb波共振子、PZT MEMSスイッチ、表面弾性波(SAW)素子、可変容量を用いた可変周波数SAWフィルタなどがある。製造・安全関係では、ロボット用触覚センサー、ネットワークや超並列EB露光装置などへ応用されています。
また、医療関係では磁気共鳴力顕微鏡への応用をはじめ、体内埋込圧力センサ、眼内圧モニター、ワイヤレス多チャンネル神経インパルス検出システムなどで使われておりますとのご説明がありました。

・オープンコラボレーション
日本の大学や公的研究機関ではニーズより新規性が優先されますが、欧米では公的研究機関と大学が連携して産業界を支えており、ファブレス企業が生まれやすい環境にあります。
東北大学では、マイクロシステム融合研究開発センター内に「試作コインランドリ」を設置し、企業が製品開発に利用できるよう知財管理規定を策定することで、製作実用化・製品製作を支援するサイクルを実現しました。
また、研究開発の効率化・低コスト化を目指し、大学に蓄積した豊富な知識を提供するためのMEMSパークコンソーシアム (MEMSPC)を主催しております。
これらは、次世代産業の種を生み出す場で製品に結びつく研究開発を行うとのコンセプトに基づくものですとのご紹介がありました。

以上

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