INC(International Nanotechnology Conference on Communication and Cooperation)は、日米欧のナノテクノロジー政策立案者、研究者、企業のキーパーソンが集まり、ナノテクノロジーの最新動向・将来の方向について議論し、国際的な協力・交流を推進する国際会議です。
INCは、日米欧の持ち回りで、年1回開催されてきており、INC12はベルギーのルーベンにあるIMECで開催されました。参加者は100名ほどで、我が国からは、産総研、物材機構や大学、産業界から約20名の参加がありました。
JEITA半導体技術委員会 INC-WG(国際ナノテクノロジー会議ワーキンググループ)は、オーガナイザー参画機関の一つとしてINC12の企画・運営に積極的に貢献しました。
講演者としてJEITAから推薦したのは以下の方々(講演順)です。日本のナノエレクトロニクスにおける最新の成果を披露していただき、いずれも会場の注目を集めました。
・最上 徹氏(PETRA)「Challenges for Nanotechnology R&D in Japan Industry」
・山岡 雅直氏(日立製作所)「A New-paradigm: Ising Computing Solving Combinatorial Optimization Problems for IoT」
PETRA最上氏の講演風景 |
日立製作所 山岡氏 |
Day1(5/11)では、本会議の特徴の一つである、3極の政府と産業界を代表する方々のナノテクノロジーへの取り組みについての講演がありました。日米欧三極のナノエレクトロニクス研究開発への取り組みに加え、本年は特に国際的な共同研究にフォーカスを当てたセッションが設けられました。このセッションで議論された6件のアイテムのうち5件が我が国の研究機関が関係するもので、この分野での国際協調が進んでいることを印象付けました。Day2(5/12)は、今回のINCで特にフォーカスしたセッション“Rebooting Computing to address IoT challenges”で幕を開けました。IEEEの新しい取り組みであるRebooting Computing InitiativeでリーダーシップをとるTom Conte(Georgia Institute of Technology)はこの講演でデータ処理量の爆発的増加と迫りくるデバイスの限界からコンピューティングの在り方も大きな変化を余儀なくされることを説き、現行Von Neumannに加えApproximate、Quantum、Neuromorphic、Analog computingなど多様な演算方式から適切な方法をディスパッチしてより高速で効率的な演算を行う必要性を説きました。これら新しい演算に必要なデバイスやアーキテクチャの研究が
今後の大きな流れの一つになるものと考えられます。またなお本セッションはITRSからIRDS(the International Roadmap for Devices and Systems)となった国際ロードマップ委員会のプレナリーセッションとしても開催され、今後のエレクトロニクスの方向性を示す重要な場となりました。
午後のセッションも引き続きIoTをモチーフに超低消費電力トランジスタや新しい物性をしめすトポロジカル絶縁体に関する講演、また日立・山岡氏のIsing Computingに関する講演が行われました。
ポスターセッションでは、日米欧より約40件の展示があり、活発なセッションとなりました。各極から1件ずつ、計3件の優秀ポスターが表彰されました。
INC12のその他の結果を含む概要は以下の通りです。
次回(INC13)は、2017年5月に米国インディアナポリスで開催予定です。