ハーフピッチ45nm 以降のLSI の微細化を担う露光技術として期待されている一つに,波長13.5nm の極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)を使うリソグラフィ(EUVL:EUV Lithography)技術がある。
日本では,経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受けて,2002 年に発足した極端紫外線露光システム技術開発機構(EUVA:Extreme Ultraviolet Lithography System Development Association)を中心に,産学官が連携して開発している。
当初は,2005 年度末までの3 年計画の予定であったが,欧米では国家レベルの開発を続けており,これに後れをとらないようプロジェクトの2 年延長が決まった。
新たにβ機相当の要素技術目標を設定するほか,露光システムの原型機を試作してプロセスとの連携を図ることも計画されており,開発を加速して2010 年の実用化を目指す。
EUVA は組合員9 社で構成されている。光源メーカ3 社(ウシオ電機,ギガフォトン,コマツ),装置メーカ2 社(キヤノン,ニコン),デバイスメーカ4 社(NEC エレクトロニクス,東芝,富士通マイクロエレクトロニクス,ルネサステクノロジ)である。
EUVL の光源には,物質への強力なレーザ光照射や高電圧印加によって生成される高温プラズマからの,波長13.5nm のEUV 光を利用する。
露光装置としてのEUVL の技術課題は多岐にわたる。その多くは,既存光源の1/10 以下の波長のEUV の性質に起因する。EUV は物質による吸収が大きく,透過光学系で制御することは難しい。また,さまざまな物質の屈折率は1 に近く,極めて直進性が強い。このためレンズの代りに,ブラッグ反射を利用した多層膜ミラーを用いた反射光学系を用いる。
この多層膜ミラー1 枚あたりの反射率は高々70 %程度であるため,設計上十数枚は必要とされるミラー光学系を通過して,ウェハに到達するEUV 光の光量は,入射光の1 %以下に低下してしまう。